ブログ編集担当のまかなえです。月1でブログの記事や会社の仕事を改めて紹介したり、BIM界隈で話題のトピックについて書いてみる企画、第2回をお送りします。
(ほんとは3/31に投稿予定だったのですが設定をミスり、4/3に投稿しています…)
まずは今月上がった記事の紹介から。
今月の記事
いくつものRhinoコマンドをマクロでまとめて作業を効率化しよう!という記事です。実務でのモデリングでは決まりきった作業が生じがちですが、そんな作業をちょこちょこマクロ化、コマンド化できると捗りそうですね。
ちなみに執筆者のアラストゥは、なんだかよくわからない大量のマクロを作って保管していました。
代表の渡辺が2/27に、日本建築学会のセミナーに登壇したときの記事です。本番では渡辺はかなり緊張していたのですが(端でみてました)、他の登壇者の方とは異なる、BIMコンサルタントとしての話ができてよかったのではと思います。
個人的には司会の小笠原先生も含め、4人個別でブログにお呼びして話を伺いたい…
世界各国のBIMの使われ方、義務付けの度合いを見てみる記事です。日本でも来年度(明日ですね)から公共事業でのBIMの義務化が始まるので、規制レベルではBIM先進国に少しずつ追い付いていると言えるのかも。
ただ、BIM導入で何かしらいいこと(早く帰れるとか、建物の質が上がるとか)が起きないと長続きしないはず。今の建設業の仕組みでちゃんといいことが起きるか、掛け声倒れに終わってしまわないかを注視していきたいですね。
WBC優勝しましたね!スタジアムで決定的瞬間を見逃す人がいないようにするための記事です。PopulousやArupなど、スタジアムの設計大手はこんな分析をするソフトを自社開発してると思いますが、そのエッセンスならこの記事の手法で真似られる(かも)。
Rhinocerosで中ボタンを押すと出てくる"ポップアップボタン"の使い方の記事です。僕はあんまり使っていなかったのですが、繰り返し使うコマンドをいくつか登録しておくと便利そうですね。
建築情報学会WEEK2023への参加(石原)
建築情報学会WEEK2023で開かれたラウンドテーブルセッションに、弊社から石原が参加しました。
まずセッション「建築情報による建設プロジェクトマネジメントの職能再編」ではオーガナイザーを務め、Fortec Architectsの大江さん、株式会社白矩の押山さんと議論しました。
議論しつつYoutubeLiveとtwitterを見てたので全部拾いきれませんでしたが反応がいただけけてありがたいです。べたべたな建設と設備投資の話も建築情報として議論に入れられて領域を広められたでしょうか。 #建築情報学会
— 石原 (@rstonefield) 2023年3月5日
また、「曲面形状を実現させるための設計」セッションではパネリストとして、Vuildの篠原さん、ATLVの杉原さん、Hune Architectsの林さんとお話ししました。トピックが盛りだくさんになったので、近日中に改めて別の機会を設けて議論する予定のようです。楽しみですね!
VUILDで担当している学芸大プロジェクトのコンピュテーション周辺の話をします!ぜひ。
— 篠原 岳 (@gakushinohara) 2023年2月15日
Annual Academic Conference 2023 採択セッション発表 – AIS 建築情報学会
https://t.co/4NyWQME06O pic.twitter.com/Gz0VzEVe1E
今月のトピック「薬屋のひとりごと」
最近ネット広告に屈して、「薬屋のひとりごと」のマンガをアプリで読んでいます。
中国の後宮を舞台に、薬屋で働いていた庶民の女の子が、薬の知識をもとにいろんな事件を解決する話。探偵物と後宮ドラマが合わさったような楽しい作品でおすすめです(広告にもたまには乗っかってみるものですね)。
でも野暮を承知で言えば、この話は現実にはほぼあり得ないんだろうと思います。まず町の薬屋が朝廷にあるような薬を持ってるか、知ってるか(たぶん無理、当時の薬は超高価なので)。庶民の娘が後宮に入れるか、読み書きができるか(たぶん無理、基本貴族なんじゃないでしょうか)。そして最後が1番肝心なのですが、薬学の知識をもとに推理をしたとして、それを聞き入れてくれる人がいるかどうかです。
たぶん昔の中国や日本では、強固な身分制度のもとに社会が築かれていたでしょう。そんな中では、偉い人の権威が揺るがされる意見は間違ったものとされていたはずです。主人公のように正面切って目上の人に異論を唱えた場合、サクッと処刑されていたのではないでしょうか。
そしてさらに言えば、どっちの「世界観」も間違ってはいないはずです。私たちの世の中では科学的知識や因果関係が大事にされますが、昔の社会では身分や社会秩序の方が大事だったはず。それらは戦乱や飢餓が頻発していた世の中をまとめるための無意識の工夫だったかもしれませんし、その世界観を元にアイデンティティを築いた人もいっぱいいたでしょう。
ちなみに、テッド・チャンの短編「偽りのない事実、偽りのない気持ち」はそんな世界観の相対性を扱っているとも読める小説です。
メディアによる文化や認識の変容がテーマになっていて、近未来と昔の話が交互に進んでいく構成になっています。昔の話のパートでは、未開部族の青年が、読み書きを通して西欧の科学的な価値観を身につけます。しかし最後にはそれが自分の部族の価値観と両立不可能だと悟り、科学の方を捨てる(!)結末になります。
どのように科学的価値観を得てなぜそれを捨てるのか、そしてそれが近未来の話とどう交錯するかはぜひ小説を読んでほしいのですが、このパートは敢えて近代の価値観を捨て去るという意味で、事件の解決を諦めた「薬屋のひとりごと」の主人公、または無双できなかった異世界転生者を描いていると読めるように思います。
仕事柄、建設業界のいろんな業種の人と会いますが、それぞれの業種によって世界観はさまざまに違うことを感じます。そんな中では、自分たちの世界観やものの考え方を絶対化せず、うまく「翻訳」して伝えることが大事なのでしょう。なるべくそんな「翻訳」をうまく成功させて、ばんばん事件を解決するように仕事をしていきたいなー、と日々思っています(うまくいかないことも多いけど)。
ではまた来月!