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株式会社ヴィックの技術ブログです。

日建設計の XR STUDIO の見学に行きました

7月某日、日建設計の XR STUDIO の見学に行ってきました。

XR STUDIO は、3階の PYNT(ピント) と呼ばれるフロアの一角だったので、まずは PYNT の案内をしていただきました。

看板がかわいい

PYNT という名前はピントが合う、ピンとくるという言葉からきているそうです。

PYNT のウェブサイト www.nikken.jp

自社オフィスを用い、複雑化する社会課題の解決に向けた実証実験をスタート(プレスリリース) https://www.nikken.co.jp/ja/news/press_release/pj4urv0000005pt4-att/20230331_02.pdf

トイレ

「誰が使うか」ではなく「何をするか」に着目した新しいトイレのプロトタイプだそうです。男女で別れているわけではなく何をするかで着目した Relax, Refresh, Styling の3つのテーマの個室で構成されていました。テーマによって空間のデザインだけではなく、香りや音なども異なるそうです。

すれ違いのないように入口と出口のある回遊型の動線で、入口側にはプロジェクターによるデジタルサイネージによりトイレの混み具合が一目でわかるようになっていました。

Styling の個室

バーカウンター

フロアの中央付近に曲線を描くバーカウンターがありました。バーカウンターが膨らむ箇所であえて空間を絞ることで人と人とのコミュニケーションを促す設計にしているそうです。タイミングによっては業務時間後にお酒が飲めるイベントもあるようです。

曲線で構成されたバーカウンター

OUR BOOKS

様々な社員の方の選書が置かれていました。今はまだあまり親しくない人であっても、おすすめ書籍などを通じて人となりを感じられることもあると思うのでいい仕組みだなーと思いました。

様々な社員の方の選書が並ぶ棚

ここまで PYNT の設備について、簡単に触れましたが、さすが日建設計、照明や什器、家具などの細部や仕上げに関してとてもこだわりが感じられる空間でした。

XR STUDIO

XR STUDIO は、3面の2.5メートルを超える高さの壁と床と、キャリブレーションされた3台のプロジェクターから構成された空間となっていました。

いくつかコンテンツを作成しているようですが、日建設計が設計した物件を様々なスケールで体験できる動画では、渋谷スカイの映像では手すりの高さとそこから見える景色と合わせて手摺の高さをリアルに想像することができました(おー!と言いながら写真を撮りそびれました、、)。トイレの実寸を表示してみると、トイレットペーパーや手すりがここにあると手を伸ばすとこんな感じかというのも確認できました。

Styling のトイレの個室を実寸で投影

立面的に実寸を確認というと学生の時にマステを壁に貼って高さを確認するようなことをしていた記憶もありますが、図面やモデルのキャプチャーが高さ2メートル超の範囲に実寸で投影されているという感覚は没入感もありすごく新鮮でリアリティを感じることができました。

長い時間パソコンの画面の中でデータを触り続けていると、現場を見せていただく際に大きさが思っていたより大きいですね、と感じてしまう時があるのでこのような環境が社内にあるのはとてもうらやましいです。

水平垂直に切ったフロアの様子を映してみると、模型のような図面のような情報が確認できました。このフロアでは四角い建築ではありましたが、この仕組みで、例えば場所によって断面が異なるような曲面や傾いた部材が多い建築プロジェクトについて、確認したい断面を随時切り出してこのスケールをみんなで見ながら打ち合わせしてみたいと感じました。

PYNT のフロアの平面と X 軸 / Y 軸での断面を表示

この他にも VR デバイスのトラッキングシステムを用いて、実際のモノと、設計データを同期するような実験もやられているようで、設計のやり方としても僕らがまだ想像できていない面白いやり方がトライされていくのだなと思いました。

(設計フェーズでの絵作りにかかわることが多い VIZ チーム 有澤さんにも感想を聞いてみました)
設計者がXRスタジオ内に3Dモデルを持ち込んで社内検討したり顧客+関係者で打ち合わせもしているらしく、設計者が直ぐに3Dモデルを投影する為にスムーズに連携を組めるワークフローが組まれていそうで非常に興味深かったです。

有澤さんのコメントでも言及されていることと繰り返しになりますが、設計チーム自身の検討過程や、関係者間での合意形成など、この設備が有用なシーンがいくつも想像できました。僕らも 3D ソフトでモデルを作ってそれを見せるだけでなく、いろいろな手法を駆使して関係者の皆様とよりよいプロジェクトを作っていきたいなとすごく刺激を受けました。

佐々木様、対応ありがとうございました!

(終わり)