どうもこんにちは、VIZチーム有澤です。
「パースのこんなところ、こだわってます」シリーズが結構評判なようなので続けていきたいと思います。 今回は名鉄都市開発株式会社さんからお話しいただいた神宮前駅西街区再開発のイメージについて解説していきます。
計画の概要と建築のコンセプト
この計画は名古屋市熱田区内の神宮前駅に観光客などの来街者をターゲットとした開発で、熱田神宮との連続を意識した計画となっているようです。 地域のお店や食べ歩き楽しめるお店を誘致する予定のようです。詳しくはこちらのリンクを見てみてください。
メインの建物は熱田神宮の切妻をモチーフとし、愛知県産の木材を用いて切妻屋根がながーく連続する外観が特徴です。 この案件では3枚描かせて頂きましたが、今回は鳥瞰パースについて話していきたいと思います。
アングルの狙い
以下がお客さんからキックオフミーティングにて聞き出せた重要な要素です。
- 場所性の表現:熱田神宮との距離感/商店街との連続性/神宮前駅からの動線
- 建築の立体表現:切妻立面が視認できる事/分棟である事
- 賑わいの表現:動線の流れ方/広場の賑わい
どのプロジェクトでも鳥瞰パースの場合にロケーションの表現の有無は言うまでもないですが、「どの程度まで詳細に表現するか」「どの範囲までを表現するか」など、、プロジェクトひとつひとつ考えなければなりません。
例えば、ロケーションを精細に広範囲に表現すると場所の魅力は伝わりますが提案する建築の魅力が伝えづらくなりがちです。提案を強調したい場合は周辺建物を単純な白い箱で表現したり、明度を抑えたりする事で本体建物に目が向かうように表現する方法もあります。アングルの工夫で周辺を精細に表現しつつ提案を強く伝える方法もあります。また、提案を強調させないで周辺に溶け込むようにフラットな表現をする場合ももちろんあります。 パースの使用目的によって最適な周辺表現を取捨選択していきます。
今回のこの鳥瞰パースは予め設計チームのみなさんが作っていたものを描き起こす形で始まりましたが、上に挙げた重要な要素を念頭に置きつつこちらでアングルを微調整しアングル確定へと進んでいきました。
こだわったところ
・賑わいと場所性の表現
動線の流れ方を意識しながら建築本体へ視線が誘われるような人物配置を心がけて作業を進めていきます。バラついた配置してしまうと動線情報が分かりづらく散漫な絵になりやすいので、人の固まりを作る意識を持ちながら絵作りを進めていきます。
また、歩いている人だけではなく立ち止まっている人も置いてあげるとリアリティが増してより自然な仕上がりになります。普段の生活でも街中を観察する事が大事ですね。
・建築の立体表現
分棟である事が分かるように3棟の建物が離れているように見せながら、また特徴的な切妻の長い立面が分かりやすいように妻面の見え方も気にしつつアングルを撮っていきました。建物の構成を分かりやすく伝える為にはアングルが全てといっても過言ではありません。
・線画の強弱
別の記事でも話していますが線画は提案のコンセプトを理解する事で重要です。パース内で表現する情報を順序立てて線画の強弱に落とし込むことを意識しながら描いていきます。 手前に少し強い線をグッとつけて重心を持ちつつ、提案の特徴を印象付けることを大事にしながら線画を描きました。歩道橋に少し強い線を入れて動線の流れが分かるような線も入れています。 以前書いた線画の記事も是非読んでみてください。
いかがでしたでしょうか。 今回紹介した鳥瞰以外にも2枚描かせて頂いてます。
自分も描いた絵を言語化して書き連ねたので改めて自分が何を描いたのか整理できた部分があります。設計者と絵のやりとりをする時、言葉を重ねて絵の話をする事が主なので言語化は大事にしていきたいですね。
ではまた次の機会で!