こんにちは、前回出したブログ https://blog.vicc.jp/entry/key-points-of-arch-viz-2 の第3弾。 パースのこだわりポイントの紹介をしたいと思います!
プロジェクト概要と建築のコンセプト
矢敷潤建築設計事務所様(https://yashiki.info/) からのご依頼を受け制作いたしました。
神奈川県金沢区民センター(仮称)の設計業務委託プロポーサル案のパースです。
建物の中央に表れる大階段(緑の切通し)によって各階がつながりを生むことを目指しています。
また緑化面や植樹によって、穏やかな自然光が入り、区民の方々にとって居心地の良い、止まり木になるような場づくりを目指していました。
外観パース
内観パース
このプロジェクトでは2枚のパースを制作させていただきましたが、今回は内観パースについてお話していきたいと思います。
こだわりポイント① 構図づくり
一つ目は構図づくりです。内観アングルを探す際に大きな吹き抜けがあることに気づきました。
吹き抜けからの視点を選ぶことで、大階段の心地よさや、様々なアクティビティの在り様をかき分けることができると考え、まずこの立ち位置としています。
また、カメラの視点と注視点の向き方にも配慮しました。中央上部に走る階段も構図にダイナミズムを与え、豊かで自由な動線計画も含んだ構図となると考えました。他にも3階の吹き抜けを少しでも見せること、アングル左側の建物外部も見せることで、広がりを感じるアングルにし、さらに外部の雰囲気やエネルギーをパースに取り込むことができます。また画面中央に抜けがあるのでその部分もしっかり構図に入れることで抜け感がでます。
多角形の平面構成の場合、スラブ面などに対して正面するアングルを避けることで、形状を正しく理解しやすくなり、より動的なアングルを取ることできます。
また太陽光やスポットライトも構図づくりにとって重要です。今回は大階段と左手前に構図を引き締める感覚でいれつつ、室内にもスポットライトも構図がより良くなるように意識して配置しています。 これによって構図の重心の微調整と天井面ののアイキャッチになったり、奥行き感を感じさせる効果を持たせることができます。
こだわりポイント② 点景の配置
伝えたい要素が多いときには、点景の配置にはかなり気を使っています。 この内観イメージでは、伝えたい要素が多岐にわたるプロジェクトでした。 以下の内容です。
- 一階、中央のイベントスペース
- エントランススペース
- 情報コーナー
- 事務室
- 2Fフロア ギャラリースペース
- 大階段の活用
- 緑化面や植栽の居心地
これらの内容をすべて美しく伝えるために、人の配置にも1、2ピクセル単位で調整をしつつ、服の色なども気にしながら検討を行っていきます。 絵作りの考え方で近景、中景、遠景という考え方があります。近景に点景を入れると、パースを引き締めてくれる効果や、まずその点景を見てから次の点景へと自然に奥に向っての視線誘導の働きをします。 これにより、各アクティビティがより視認しやすくなります。
ですが、手前の点景によって奥行が損なわれてしまう場合があるため、子供連れの人を入れたり、中景にも子供多く入れて視線を塞がないように配慮しています。近景に入れる点景が悪目立ちしているパースはよくみるので、近景の点景配置は避けるように心がけています。
また、パース上部の大階段は、単にレンダリングされたものでは機能がわかりづらいです。そこで、階段透かしつつ段差の踏面、踊り場に見えるようなラインを入れました。 そこに人を配置することで、近景、中景、遠景の奥行方向以外にも上下の立体的な動線を感じながら、豊かな吹き抜け空間と緑化面や植栽が創出する場の雰囲気を感じてもらえるように細やかな調整をしています。
以上、今回のこだわりポイントの紹介でした。また、制作における考え方やアプローチについて、異なる視点からお話できればと思います。制作に対する考え方を深めることができるのは、何よりもクライアントの皆様が対話の時間を割いてくださるからです。
今後も積極的にコミュニケーションを大切にし、プロジェクトの中でより良いビジュアルワークを実現していきたいです。