今回のApple Vision Pro体験会には総務省の「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を確認の上に適切な配慮のもと利用しています。
概要
以前HoloLab Conference 2024の記事で体験コーナーで一番人気があったApple Vision Proを紹介しましたが、なんと今回はHoloLabの代表、中村薫さん自らviccに訪問していただきVision Proを体験させていただきました。まだ日本では発売されていないので、HoloLabさんはこのVision Proを購入するため、わざわざハワイにまで足を運んだとのことです。その行動力に敬服しました。
この貴重な機会を設けていただいたHoloLabの中村さん、ありがとうございました!
体験コンテンツ
今回体験したアプリは「恐竜」と「建築」です。
「恐竜」はVision proの公式アプリEncounter Dinosaursです。まさに「空間コンピュータ」の性能を使い、バーチャルな画面と現実の環境を組み合わせています。蝶々や恐竜たちと触れ合うことで、Vision Proの特長を素早く強烈に体験できました。恐竜のリアルなインタラクションに驚かない人は恐らくいないでしょう。
「建築」はHoloLabさんが開発中の3Dモデルレビュー用アプリです。今回のデモのモデルは「ファンズワース邸」が使用されました。基本的に見え方はHDRI環境のVRと同じですが、モデルのクオリティーとテクスチャ解像度が高いおかげで、近くで見ても自然に表現されています。
建築の意匠設計からディテールのデジタルモックアップまで、Vision Proほど適したデバイスはないと思います。特にVision ProはHoloLensのホログラム映像方式ではなく、屋外で使用しても光からの影響がほとんどないため、建設現場でも活用できるかもしれません。
感想
実際に体験した感想は、さすがはアップル製品だなと思いました。
参加した人の中にはVR未経験者やVR酔いしやすい人もいましたが、結果的にみんな酔わずに楽しくVision Proを体験することができました。
Vision Proと使用感が一番近いMRデバイスMeta Quest 3は、表示の解像度や画角はそこまで劣るわけではないですが、VRデバイスを使っているという非現実的な感覚が残っていました。一方Vision Proは、外付けカメラから映すラグがない周辺環境の合成効果で表現した映像が肉眼の視野感覚に近く、また解像度も高いため、全く違和感なく使用できます。自然な視野の処理、装着感も心地よいため、より一層映像を自然に楽しめると個人的には思いました。
しかし、メガネをかけたままの使用ができない点と、バッテリーを有線で外付けしなければならない点が少し気になりました。素晴らしい映像体験を実現するためにはやむを得ないのかもしれませんが。
また、手で直感的に操作できる反面、専用のコントローラーがないので繊細な操作が難しくなるかなと思います。システム上で操作センサーを使用者個人に最適化するセットアップが必要なため、大人数のイベントにもあまり向いていないとも思いました。今後の改善に期待します!
総合的にVision Proは高い解像度、安定的なリフレッシュレート、軽量の素材で心地よい装着感など今までのデバイスとの明確な違いを感じました。
ハードウェア面ではVision Proは完全に上位クラスだと思います。もちろん価格も。
結語
今までのVR、MRデバイスと本質的にはそこまで変わっていなませんが、ハードウェアとソフトウェアの整合性で全体のクオリティーが段違いに上がったと思います。この新しいデバイスはアップルのエコシステムに大きな影響を与えるかもしれません。
実際にアップルはVision ProをVRとMRではなく、「空間コンピュータ」(spatial computer)と呼称しています。アップルは再びデバイスを新たに定義しようとしているのでしょう。
HoloLabさんからのVision Proアプリのリリース、またこれからの幅広い開発を期待しています!
HoloLabさん、本当にありがとうございました!