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株式会社ヴィックの技術ブログです。

パースのこんなところ、こだわってます!#1 大分空港海上アクセス旅客ターミナル

こんにちは、VIZチームの松谷です。 今回はこのパースに絞ってその中でどのようなこと考えていきながらパースを制作していったのか、そのこだわりポイントを書いていこうと思います。

コンペ概要と建物のコンセプト

このコンペは、大分空港海上アクセス旅客ターミナルのコンペティションで、坂茂建築設計からパースの依頼を受けました。 大分市街と大分空港をつなぐホーバークラフトターミナルの計画であり、設計のコンセプトとしては、ターミナルは別府湾のどこからでも視認できる南蛮帆船を想起させる形態を、大分県の象徴である竹を使った吊り構造で表現しています。 弊社では外観パースも制作しています。

外観パース

アングル

アングルはパースの骨格です。

  • 上部に上がっていく構造体の動き
  • ホバークラフトへのアクセス
  • ターミナルへのアクセス
  • 海、山の周辺環境
  • その他の施設用途情報

上のようなパースで伝えたいことを、すべて盛り込めるようなアングルを探さなくてはいけません。 まずは最重要の構造体のデザインがより魅力的に見えるアングルを探ります。 建物のてっぺんに向かう構造体をパースの中央に配置しながら、左右のホバークラフトへ乗り口とターミナルへのアクセスが入るように、カメラの広角具合を調整します。 奥に見えてくる海や山並みが気持ちよく見える位置に視点を上げていきます。

視点を上げる前のアングル
視点を上げたアングル

少し視点を上げるだけで、床面が見えてきて、奥の待合室も見えてきたことがわかるでしょうか。 建物のてっぺんは線画で補うことで形状を理解しやすくなります。 このようなコンペ用のパースは、ともすればデザインと用途の説明に終始しがちですが、周辺環境を良い形でパースに取り込めると場所の雰囲気がでてきて良いと思っています。

ガラスの反射

ガラスの反射に構造体を移すことで構造が連続している感じを出しています。別レンダリングをしてあとから反射感の塩梅を調整できるようにしていました。

ガラスの反射なし
ガラスの反射あり
ガラスの反射、透過は、伝えたいことによって変えることが多い部分ですね。

点景の配置

点景の配置は、

  • ホバークラフト入口が確認しやすくなるように入口に向かって歩くひと
  • 構造体に目が行くように指した人を配置
  • 階段、通路、動線が分かるように人を配置
  • 待合室など用途に応じて人を配置
  • ヨットや船を入れて環境を味方にする

このようなことをパースの中でバランスよく入れていこうとしています。 人をうまく重ねて粗密をつくりながら配置するのがコツです。パースに躍動感が出てきます。

線画の入れ方

てっぺんに向かって伸びる構造体にすっと線画を入れてあげると、竹の構造体と相まってダイナミックな印象になります。 構造の中で造形的に力強い部分、印象に残りやすいところでは、少し線画を伸ばしたり、太くしたりすると造形を力強く表現できます。逆にオブジェの吊り材など重要でないところは、モデリングで入れずに線画のみで入れて、パースの中で伝えたいことの優先順位をつけるために役立てています。

線画パースの描き方はこのブログで詳しく話しているので読んでみてください。

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まとめ、今後

以上パースで考えていたこと、こだわりポイントを紹介しました。 こういったこだわりは、クライアントと話していく中でふいにでる言葉から生まれることが多いです。議論の中でのちょっとした言葉で、クライアントが建築で大事にしているポイントが理解できて、それをパースの表現に置き換えていく感じ。 そんな気づきを得るためにも、クライアントと話す時間はとても大事ですね! 今後も一枚に対してのこだわりポイントを紹介していこうと思います。