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株式会社ヴィックの技術ブログです。

第124回 CMAJフォーラムで講演しました

タイトル通り、株式会社VICC渡辺、チャーリー、石原の三人で、とあるイベントでお話してきました。

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第124回CMAJフォーラム

CMAJというのは一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会のことで、職能団体の勉強会でBIMについて話してきたということになります。

BIMとCM(コンストラクションマネジメント)というのは親和性が高い分野であり、チャーリーはプロジェクトマネジメント会社の経歴があったり、私は認定コンストラクションマネージャーだったりします。

なぜCM会社に向けて語りかけるのか

国外の事情を見ると、CM会社がプロジェクト全体のBIMマネジメントをリードするという自然な流れで、オーナー起点のBIMが実践され、設計や施工が協働してプロジェクトが進むという一つの理想像があります(もちろん理想を目指して失敗している例もありますが)。

今回の講演でも、自社の事例を紹介したのち、設計者や施工者が独自の取り組みをした場合に必ず立ち上がる、体制やスケジュール、予算組などの壁が、上位のマネジメントから取り組むことで乗り越えられ、より効果的なBIMの活用ができるのでは?という話をしてきました。

設計者や施工者独自の取り組みでも、BIMで生産性を向上するような取り組みはあるのですが、全体最適化で得られるメリットの大きさを考えるとプロジェクトマネジメントの立場でBIMを活かすことの重要性は非常に大きいのです。

ただ、日本国内の状況を見る限り、CM会社から見てBIMというのは「設計事務所やゼネコンに依頼してやってもらう業務」という認識が一般的なように思われます。

今回の講演では、マネジメントに関して言えばコンストラクションマネージャーが主体的にBIMをリードする立場になりえるのだということが最大のメッセージでした。

もちろん、私たちのようなBIMマネージャーが直接建築主(事業オーナー)と協働することもあり得るわけですが、オーナー側のマネジメント人材の不足は情報マネジメントだけでなくプロジェクトマネジメントのレベルでも起きていることが多いのでCMとBIMのコラボレーションは今後どんどん増えていくのではないでしょうか。

ISO 19650とコンストラクションマネジメント

ISO19650という国際的なBIMの標準規格では組織マネジメント⇒プロジェクトマネジメント、資産マネジメント⇒情報マネジメントという風に上位のマネジメントから影響されて(下支えされて)マネジメントが行われるという前提があります。

これがEIR(情報交換要件)と呼ばれる業務仕様書を書き下す際にプロジェクトで求められる情報、オーナー組織の必要とする情報を組み込むというような形で実践に反映されます。

BIMマネジメントの前提としてプロジェクトマネジメントがある、あるいはプロジェクトマネジメントに包含されてBIMマネジメントが存在しているのです。

こうしてみると、BIMとCMというのは別物ではなく、BIMはCMを円滑に行うためのものとさえ言えます。

今回、講演の中でコンストラクションマネージャーの皆さんにBIMがCMと親和性が高いのだということを認知してもらうために

  • CDE
  • EIR
  • BEP

について簡単に紹介しました。 これらはBIMの実践で重要な要素であるとともに、ISO 19650シリーズでも規格化されているものです。

ISO19650では基本的に建築主がCDEやEIRを整備することになっているわけですが、同時に、EIRなどの作成時に「経験の少ない発注組織は、これらのタスクに役立てるために専門家の支援を求めることができる」という記述もあります。

CDEの持ち主は建築主かもしれませんが、その設立や、そこで行われる意思決定の交通整理役はCM会社が支援することも十分あり得るわけです。

私たちのようなBIMマネジメントの会社は情報技術の側面(データの複合戦略やステータス管理のシステム化など)を支援することはできますが、プロジェクトマネジメントのすべてを担う力はないので、自前の営繕部門やインハウスのPM部署を持たない建築主の方たちと仕事をする際には専門家としてコンストラクションマネージャーにも登場してもらいたいのです。

BIMはプロセスでありマネジメントが大事

これまでもCMAJの機関誌に投稿したり、建築学会の建築討論(Webメディア)に投稿したり、建築情報学会のWEEKでラウンドテーブルを開催したりと「BIMとマネジメント」について発信してきましたが、まだまだ啓蒙が不足しているなと感じることが多くあります。

とはいえ、今回のフォーラムでもCMの立場からの多くの質疑をもらったり、講演後のビジネス交流会で興味や問題意識を持ってもらえているという手ごたえがありました。

今後も、マネジメントの重要性は千回くらい提唱するつもりです。