というわけで、読書ブログこと、「もしドラ」です。 ちなみに「もしドラ」は読んでいません。 名著とされる本ですが、もしドラが二昔前に流行ったときも、原典を読もうという人は少なかったのではないでしょうか?
ドラッカーの著作が全般的に経営学の範疇を扱っているなかで、特に自身による大著のダイジェスト版であり、一般に『マネジメント』と呼ばれるのがこのエッセンシャル版です。
経営という意味でのマネジメントの本が、プロジェクトマネジメントだとかBIMマネジメントに役立つのか?という疑問があるかもしれません。
「経営とは会社というプロジェクトのプロジェクトマネジメントだ」という認識の仕方もあるし、「広くマネジメントが存在してそのなかにプロジェクトマネジメントやBIMマネジメントがある」という認識の仕方もあるでしょう。
いずれにせよ無関係なものではなく、それなりに学べるところはあります。
ドラッカーの論法は事例から経験則を導いて普遍的法則を述べるというもので、普遍的法則の部分の抽象度が高く、訳文のとっつきにくさもあって難解に見えます。
一方で、経験に裏打ちされた結論は妥当性が高いというか、「まぁ、みんなそう思うよね」ということも多く、面白みや知的刺激は少なく、どちらかというと経験を噛み締めて身に染みて反省する読書経験になります。
おそらく、読者自身が類似の経験をしていると共鳴して深く読める類の文章なので、人生の中で繰り返し読むことで価値が出てくるであろうことが予感されます。
一回ではなく繰り返し読むのです。
本書の構成は3部立てで
- マネジメントの使命
- マネジメントの方法
- マネジメントの戦略
と別れています。「マネジメントの使命」や「マネジメントの戦略」は会社役員でないと直接は役に立たないかもしれませんが、一人で生きている場合を除いて、世の中を見る視点になるものです。
会社ではなくプロジェクトのマネジメントに直接的に役立つのは「マネジメントの方法」でしょう。
いくつか個人的に琴線に触れたものを抜粋しておきます。
あらゆるマネージャーに共通の仕事は五つである。①目標を設定する。②組織する。③動機づけとコミュニケーションを図る。④評価測定する。⑤人材を開発する。
そんな気もします。
マネジメント開発は、人の性格を変え、人を改造するためのものではない。(中略)雇用主たる組織には、人の性格をとやかくいう資格はない。
肝に銘じたい。
あらゆる管理手段が七つの要件を満たさなければならない。
- 管理手段は効率的でなければならない
- 管理手段は意味のあるものでなければならない
- 管理手段は測定の対象に適していなければならない
- 管理手段の精度は、測定の対象に適していなければならない
- 管理手段は時間間隔が測定の対象に適していなければならない
- 管理手段は単純でなければならない
- 管理手段は行動に焦点を合わせなければならない
会社の業務時間管理とかどうあるべきでしょうか。
当たり前すぎて何の話か分からないかもしれませんが、折に触れて自らの仕事を振り返ると、なにがしかの示唆を得ることが出来ます。 鵜呑みにして何かができる虎の巻ではなく禅問答のようなものですが、悟りとは答えを知ることではなく、宇宙や自分の中にある何かを開くものかもしれません。
期せずしてこのエントリが2023年、最後の記事だそうです。 よいお年を。