蒔苗です。突然先週末に子供が生まれてしまい、来週から半年間育休をとることになりました。
先週石原さんもブログを書いていましたが、これで2023年に弊社で育休をとったのは4人(!)、全社員の1/5が育休をとったことになります。
せっかくなので、休んだ人、休まれた(?)人双方に育休の感想を聞いてみました。
育休をとった人から
ジェイさん(育休期間:3か月)
育児休暇をとる前は、できるだけ妻が育児に集中できるように努力してきました。しかし子供が成長すると、妻が一日中一人で子供を見ることが体力的に大変になっている様子でした。
以前から渡辺さんからも育児休暇取得を勧められていたため、3ヶ月間育児休暇を取りました。家事、子供との遊び、昼寝、お風呂、授乳と毎日同じことが続く育児生活ですが、父親と母親が一緒に全てをやることで、ストレスや体力的な負担が半分になりました。
また、一緒にいる時間が増えたことで、子供が父親のことをはっきりと認識し、子供との絆がより深まりました。そのせいで頻繁に抱っこをせがまれて大変でしたが、これが今回の育児休暇で得た最も貴重な結果だと思います。今後、子供と3ヶ月間毎日一緒に過ごせる機会がどのくらいあるだろうとも考え、心を込めて貴重な時間を過ごしたように感じます。
もちろん、家庭の経済的な負担や同僚の業務負担などは発生しますが、事前に十分に考えておけば、それらは最小限に抑えられると思います。
ヨンチョルさん(育休期間:3か月)
私は2019年に日本に来ました。日本での生活、結婚、出産、育児など、全てが初めての体験でした。もともと住んでいた国でも育児休暇を勧めているようですが、あまり肯定的な話を聞いておらず、今回の自分自身の育児休暇についても心配が多かったです。
終わってみて私が感じたのは、「できれば必ずしよう」ということです。
多くの人は、仕事での負担やキャリアへの不安がある状況の中で、育児を始めることになると思います。そんな不安や負担、ストレスが重なると、仕事も家庭もうまくいかない状況が発生し得ると思います。それを少しでも軽減し、家庭に集中できる環境を作るために、育児休暇はとてもいいものだと思います。もちろん会社としては、他の同僚に負担にならないような管理が求められると思います。
個人的に私は、会社にいる全ての個人がうまくいってこそ、会社がうまく成長できると思っています。 会社がスタッフを家庭をもった一個人として尊重してくれれば、会社への帰属意識と業務へのやる気がさらに大きくなり、さらに事業を成長させられると思います。
二人とも、家庭に集中できるメリットをまず第一に感じているようですね。前回のブログでも石原さんが「ライフイベントに際して自分の意思を尊重してもらえることで、落ち着いて仕事に取り組めるという本質的な効用が大きい」と書いていますが、その通りだなという感じがします(当事者としても同意です)。
育休をとられた人から
個人的に、育休のレポートで「休まれた、仕事を引き継がれた」方の話をほぼ聞かないのが気になっていたので、社内で聞いてみました。
ハンソルさん
良かった点...
- 自らプロジェクトをリードする初めての機会になりました。
- 仕事への責任感やモチベーションが上がりました。
- スキルもレベルアップできたと思います。
- 育休を取得している人がいることで、スタッフのことを考えてくれる会社だと感じられました。
大変だった点…
- 育児休暇と退職で、予想していたよりもスタッフが減ってしまいました。
- 仕事量も予想より増えてしまい、無理しなければならないほどになってしまいました。
改善してほしい点…
- スタッフの増減をしっかり認識し、リスク管理をする必要があると思います。
- プロジェクトの進捗確認や今後の予想を、より入念にする必要があると思います。お客さんとも丁寧なコミュニケーションが必要です。
- 仕事の引き続きもある程度システム化できると思います。
増田さん
石原さんが予定より早めに休みに入ったことで、二人体制で進めていたプロジェクトをほとんどすべて自分が担当することになった。
問題としては、引継ぎが十分ではなかった業務があったこと。同じ質疑を再度聞いてしまうことや、以前の指示が抜けてしまうことがあった。GH定義で説明が少ないものは、内容を読み解くのに苦労した。
良かったのは、マネジメント業務を急遽やらざるを得なくなったことで、スキルのジャンプアップができ、社内評価も上がったこと。これがなかったら半年や数年のスパンで成長が遅れていたと思うと恐ろしい。GH定義も一人で書いたおかげで、統一した構成になり管理しやすくなった。
吉岡さん
石原さんがリードしてくれていた「見えにくい社内業務」の非属人化をすすめることが出来たので良かった。
具体的には、石原さんがやっているのは知っていたが、他の人が詳細を知らない業務に関して、やっていたことを予測しテキストにまとめた。不明瞭な箇所は石原さんに確認し、その後チームメンバーに展開した。結果的に、複数人がその業務を担当することが可能になった。
壁谷さん
育休取得が前から決まっており、徐々にプロジェクトに入っていけたのがよかった。休暇一ヶ月前に新体制で動き出し、なにかあった際にまだ以前の担当者がいる状況を作れたのは、スムーズな引継ぎにつながったと思う。
ある程度経験を積んだスタッフが、プロジェクトを主体的にリードする状況が出来たのも、大きなプラス要素だった。
育児休暇取得は引き継ぐ側の負担が大きく、取得側にも申請しづらさがあると思う。しかし、育児休暇取得には大いに賛成したいと思った。これは今回も含め、二回自分がプロジェクトを引き継ぐ側をやったうえでの意見。
誰かが抜ける状況を想定しておくことは、属人的になりがちなプロジェクトマネージメントからの脱却につながる。必要なときに休みが取れ、周りのサポートがある状況は、メンバーの心理的な安心につながると思った。だから他の人も育休に限らずどんどん休暇をとったらいいし、自分も何かあれば遠慮なく休みをもらう!
まず、まだまだ引継ぎが完璧とは言えないのは確かです。引継ぎの期間に余裕を持ったり、引継ぎをなるべく仕組み化しておくことはやはり大事ですね。
あと、業務で誰かを強制的に「いなくさせ」て問題が洗い出されるという点で、育休はIT業界で言う"カオスエンジニアリング"と近いかもね、という話が出ました。詳しくは以下リンク参照のこと。
カオスエンジニアリングと聞いてカオスになった人必見 - Qiita
社長から
社長の渡辺からもコメントがありました。
もともと育休制度はありませんでしたが、20~30代の社員も多く、申請は法的にも拒否できないため、制度整備は不可避と考えていました。人材採用でも、育休制度の導入と活用はアピールになると考えましたし、私自身子供と育児が好きで、このかけがえのない時間を社員にも逃してほしくない思いがありました。そのため、スタッフの育休取得にあわせて制度づくりを行いました。
もちろん不安もありました。リーダー格が抜けるため、業務クオリティの低下、人員不足があり得ましたし、顧客からも不安の声がありました。
実践の結果、効果も課題もありましたが、総じてポジティブに捉えてよさそうです。特に「業務の非属人化」は良いことばかりです。会社や業務の把握が容易になりますし、離職へのリスクヘッジにもなります。より若い社員のやる気とスキルも上がり、チーム全体の力が向上しました。また、予定していた業務の日程がずれ、人員が余りそうになることもありましたが、育休を取得していたスタッフが多く、結果的に雇用調整になりました。正直、助かりました。
以上、やってよかったというのが本音です。建設業界にもこの雰囲気が広がることを強く願っています。そうでないと人がどんどん離れてしまいますから。
まとめ
みなさんにコメントを書いてもらって、育休に嫌な印象を持っている人がほぼいない、ということにまずは安心しました(取得者としてw)。ただ、引継ぎの工夫や、過剰な負担が生じないような管理をしないと、この雰囲気は保たれないとも思います。僕も復帰の時にはみんなが休みを取れるよう、いろいろな工夫を積み重ねていきたいな、と思います。