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株式会社ヴィックの技術ブログです。

読書ブログ『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

「失敗して怒られたくない」

とか

「失敗を生かしてくれと言われたけど、方法が分からない」

とか

「組織内で失敗を隠してしまうので、改善ができない」

などなど、、、世の中に「失敗」に対してネガティブな感覚を持っている人は多いのではないかと思います。 世の中で成功している人は「失敗は大事」と言うけどこれって根性論なんじゃ・・・と思う事があるかもしれません。 根性は時には必要かもしれないが必ずしも全てではないと思います。

起こった失敗をどう活かせばいいか、なぜ失敗は必要か、などの疑問に対して様々な業界のエピソードを交えながら分析しているのが今回紹介する「失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織」という本です。

失敗の科学

失敗の科学

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オックスフォード大を首席で卒業したジャーナリストであるマシュー・サイドが、医療、航空、プロスポーツ業界などの失敗の構造を分析しそれをどのように成功に活かすべきかを紹介している本です。 数億単位のお金が動く建築建設業界では失敗はモノによっては会社として非常に大きな損害になります。そんな業界で働く身として本で挙がっている業界の失敗のエピソードは他人ごとではなくかなりゾワゾワしながら読み進められました。

本著で書かれているエピソードの中に医療業界について書かれています。 当時の医療業界は米国医学研究所の調査によるとアメリカでは毎年44000〜98000人が回避可能な医療過誤によって死亡しているらしく、失敗に対して医師たちは

  • 「医療現場で失敗はよくあることだ」 と考えており、 起こった事故の調査をしていなく教訓が残っていなかった

  • 自分自身を保護するという 「防衛本能」に従い、 無意識的に過ちから目を逸らすようになっている人が多い

などが一般的でミスを防ぐ仕組みがなかったことを問題点として書いています。 医療業界でミスが減らないのは「クローズド・ループ現象」が関係していると言われています。これは失敗や欠陥にかかわる情報が放置されたり曲解されたりして、学習の機会や進歩につながらないことを意味しています。医療業界は当時、言い逃れる事が文化として根付いていたようです。

建設業界も他人事ではありません。

こわい。

過去の失敗からルールを見出してそこから得た教訓を 「仕組化」 すると最善の対応が可能になる訳ですが、本著では様々な業界の失敗エピソードをベースに事細かに分析されています。

ひとつピックアップすると、ミスが許される=心理的安全性が高い職場では、高いパフォーマンスが発揮できるということをGoogle社が自社内の調査で発表しています。 ミスしたことを責められるのであればミスに対して消極的になってなるべく隠蔽しようとします。結果として改善は進みません。更に組織にいる人はよりミスを恐れて積極的に動かなくなり組織として負のスパイラルに陥ってしまいます。

これに対してまず自分が他人のミスに寛容になることが大事で周囲も自分のミスを許してくれる可能性が高くなる、と書かれています。 どうやら「返報性の法則」と呼ぶらしく、相手から受けた好意などに対し「お返し」をしたい。逆に嫌なことをされたら、仕返しをしたい気持ちになる心理学に基づいた法則みたいです。 失敗をちゃんと分析して個人に責が回らないようにすることでスタッフ皆の自主性やフットワークの軽さが促進される、ということです。

人にやさしくありたいですね。(viccのメンバーはみんなやさしいです)

当たり前のように見えてしまいますが気づかされる点もたくさんあり、非常に様々な業界のエピソードが書かれているので是非読んでみることをオススメします。

それではまた。