DMBOKという書籍の存在をしばらく前に知りました。 似たような名前のPMBOKにはなじみがありつつも、DMBOKは初耳でしたが、中身に触れてみると自分のやっていること(≒BIM)とも深くつながっていたので、きっとBIM界の先人たちとDM界の先人たちは何らかの形で相互に参照していたのではないかと察せられます。
初版は2009年なのでちょうど日本のBIM元年にあたり、「分野を問わずにこのあたりからデータマネジメントという概念が重要視されるようになった」という理解もできるかもしれません。
ひとまず、さっとなぞっただけなので何か書くのもオコガマシイのですが、この知的興奮をシェアしたい気持ちで書いています(もしかして…みんなもう知ってた?)
ちなみに、個人的に手元に置きたいので自腹で一冊買ったのですが、セールで英語版の方が安くなっていました。 というわけで、日本語訳の書籍を見られている方とは用語のずれがあるかもしれません。 正確を期す場合には原典を当たってください。
DMBOKの要素
さて、まずはDMBOKの目次を見てみましょう。
- データマネジメント
- データ取り扱いの倫理
- データ管理(ガバナンス)
- データアーキテクチュア
- データモデリングとデザイン
- データストレージと運用
- データセキュリティ
- データ統合と相互運用
- 文書・コンテンツマネジメント
- 参照とマスターデータ
- データウェアハウスとビジネスインテリジェンス
- メタデータマネジメント
- データ品質
- ビッグデータとデータサイエンス
- データマネジメントの成熟度評価
- データマネジメント組織と役職ごとの期待される働き
- データマネジメントと組織改編マネジメント
多いですよね。まずもって分厚さにビビります。 つまみ食いでデータマネジメントのさわりとビジネスインテリジェンスのあたりを読んでみたのですが、 この本は各章の頭に導入文とともに文脈のダイアグラムというのがあり
- 業務上のゴールの設定
- 技術的な要素
- インプット
- 活動
- 成果品
が示されています。 これを手掛かりに概要をつかみ個別の記述を読んでいくことになります。
5章でインフォメーションモデリングならぬデータモデリングが出てきますが、この概念はプロセスとしてのBIMと近しい概念のように見えます。 データモデリングはコミュニケーションのモデル化という感じなので必ずしもBIMと完全一致ではないのですが、形状の表現という意味の3Dモデリングから離れてBIMを理解するためにはむしろこちらを意識した方が近道かもしれません。
大局的にというか、長期的にというか、BIMを活用して全体最適化を目指す場合には、後半で示されている業務分析やそれに基づいた改善が見えてくるんだろうな、というビジョンがおぼろげながら見えてきました。
PMBOK同様にこれを読んだら実務ができるものではなく、知識の体系化のための本なので、現実世界のデータマネジメントを泥をすすりながら経験する必要があるのでしょう。 しばらく時間をおいて輪読会などを企画したい一冊です。