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株式会社ヴィックの技術ブログです。

キャリア座談会--SUDARE 丹野さん, GEL 石津さんとvicc渡辺で語る②

2023/11/10にvicc社内で座談会を開催しました。 表題の通りゲストのお二人と当社代表渡辺で、自身のキャリアやその周辺の話題を扱っています。 その内容を伝えるブログ連載です。

キャリア紹介2人目、丹野さんです。

SUDARE 丹野さん経歴紹介

【丹野】 今回、viccさんの企画に呼んでいただいたので、私のことを知らない人も聞かれる方がいるかもと思いまして、まず堅い自己紹介から。

丹野貴一郎と申します。

現在はSUDARE TECHNOLOGIES 株式会社っていう会社の代表をやっております。 建築学会とか建築情報学会の会員もしています。 山形県の山形市生まれです。 高校まで山形にいて、大学で東京に出てきました。

大学は東京理科大学というところで、ここでは建築学科に入って、卒業研究としては構法を扱いました。 あまり聞きなじみのない方がいるかもしれないんですけど、工法じゃなくて、構法ってのがあって、建物をどう建てるか、納まりがどうなってるとか、屋根がどういう風に葺かれてるかとかそういった構法をやってる研究室です。

【渡辺】 意匠とかではないんですね。

【丹野】 純粋な意匠じゃないですね。 理科大は当時、意匠系の中に構法っていうのがあったんです。 真鍋教授っていう方の研究室だったんですが、意外とこの界隈にも後輩がいるというところです。

そこから、大学院で早稲田大学に行きまして、ここはもう純粋な意匠です。

石山修武という建築家の下に、いわゆる大学院の研究ではなく、石山さんの設計を手伝うっていう、僕らのときはそうでもなかったんですけど、上の世代に言わせるとほぼ監獄みたいなところに行きました。

僕らの時代はもう手は出されてなかったんですけど、上の世代までは結構…。 そこまで、いわゆる建築意匠を目指していたんですけども、石山さんと出会ったことで、建築家の道を諦めたんですよ。

【渡辺】 なぜでしょう。

【丹野】 建築デザインにこんなに情熱を持てないなぁって。

【渡辺】ああ、そういう意味ですか。

【丹野】 すごい強い意志を持ってデザインを追求される方なので、昔の建築家の方ってそういう方が多いと思うんですけど、こんなに情熱持てないなっていうのがありました。

それと、石山さんにCADの図面を何度も出して、全部ビリビリに破られましたけど、もともとコンピューターが好きだったんで、一回ITの会社に入ってます。

今は亡き会社なんですけど、プロバイダーをやっていた会社に入りました。 ただ1年半ぐらいで、ITって言ってもやってることは事務作業なんだなってことが分かってやめました。 開発系に行ったら違ったのかもしれないんですけど。

そこで次に、やっぱり建築が楽しそうだなっていうので、清水建設に入ることになって、そこで18年くらいいて、2020年に今のSUDAREを独立して始めたという流れです。

自分の昔の写真を探していて、今の僕を知っている方からすると衝撃的なんだけど。

左が高校時代ですね。まだ現役でサッカーやってた頃。30年も経つと、ちゃんとしたおじさんになる。自分でもたまに見るとびっくりします。

サッカー少年というほど頑張ってないんですけど、サッカー少年から普通のおじさんになったと。

著作

【丹野】 独立してからまだ3年なので、それ程紹介できることがないんですが、去年Aplicraftの中島さんと竹中の林さんの三人の共著で本を書かせていただきました。

読んでいただければ分かるんですけど、「この本、誰が読むんだ?」っていうくらいにマニアック内容です。 建築やってて、Grasshopper使ってて、でも「何となく触りで終わってるな、いつも」っていう人に向けた本なので、生産系をやってる人じゃないと多分読んでも意味が分からない。

普段発信しているものとしては、Archifuture WebのコラムとXぐらいです。ただ、Xは滅多にポストしないので、あんまり出てこないかもしれないです。

自己紹介と言いながら、僕は猫が大好きで、うちの猫を見て欲しくて動画を上げてます。 兄弟で保護猫で引き取ったんですが、仲はよく、いつもくっついて寝てるんですが、1日に3回くらいは弟がお兄ちゃん(右側)にかまれてます。

【石津】 かわいい。

SUDAREについて

【丹野】 今やってるSUDAREという会社の会社概要を一応書いておきました。

会社は錦糸町にあって、私と城戸さんという二人で共同代表をやってます。 ご存じの方もいるかもしれないんですけど、この城戸さんというのが積木製作っていう建築VRで有名な会社の代表の方です。 フットサルで知り合って丹野さんやりませんかと言われてやることになってたという流れです。

【渡辺】 そういう流れなんですか。

【石津】 サッカーつながり。

【丹野】 SUDAREが何をやってるかっていうと、「建築を中心にして人とモノとデジタルを繋げる技術を提供します」ってホームページに書いてあるんですけど、3年前に考えた話なので、「何を言いたかったんだけ」っと今考えるとよく分からなくって、それっぽく書いたものです。

みなさんホームページに書いてますよね。

【石津】 ありますね。

【丹野】 なんかそれっぽく書くの難しいじゃないですか。

【石津】 めちゃくちゃ難しいですね。

【丹野】 そんな言葉ですね。実際何をやってるかって言うと、建築ITのコンサルと、あとは設計施工支援がメインです。 トレーニングはたまに言われたらやるくらいで、一生懸命やってないけど、その時間が取れてないんです。 調査研究開発も頼まれたらやるという感じです。

特殊なのが労働者派遣業をやってまして、後半に出てきますけど、これを取る経緯というのが、どうしても会社経営上必要だったというのがあります。

SUDAREは積木製作とエストという名古屋の設計事務所と三社でアライアンスを組んでます。

役割分担としては、当社は建築ITをメインにやっていて、積木がVR系とBIMも一部。エストはどちらかというと、純粋に設計寄りで図面がメインでBIMをやっている、鉄骨図を扱えたりとか、結構いわゆる建築の泥臭い部分を担ってる会社。

下に書いてあるGRECというのはホーチミンにある会社で、こちらも協力体制を取っていて、資本関係はないんですけど、うちの業務をやってます。

今日いらっしゃるviccさん、GELさんも時々仕事をご一緒させていただいて、他にもご存知の方が多いような高木さんのとこであったり白矩さんであってたり、あと杉田さん、一緒にやらせていただいたりしています。

これまでの仕事

【丹野】 今までやってきた内容を喋るとかなり長くなるので、だいぶ飛ばしながら話します。 今から紹介するのは基本的に清水建設時代のものです。

私が今のような仕事をするきっかけになったのが、新宿にあるモード学園コクーンタワーです。この時に初めて3Dじゃなきゃできないっていうのに直面したときにですね。

【渡辺】 実際、どこまでやったんですか。

【丹野】 外装ですね。躯体側は一部だけです。鉄骨の仕口の納まりの難しいところだけはやってるんですけど、基本は外装です。 これって結構すごいことなんですけど、外装がカーブしてるんですが、外装のユニットの高さを揃えるために、階高が全部違うんです。

【渡辺】 それはそっちの方が安かった?

【丹野】 そっちの方が安かった。曲率がだいぶ緩いんで大した違いじゃないんです、1フロア1フロアの違いは。なかなかその決断するのってすごいなと思ったんですけど、僕は外装にそこそこ詳しくなれた。 その時の担当の方がそういう発想を持っている方で、そういう意味ではかなり勉強になりました。

【渡辺】 初めて聞きましたね、外装に合わせて階高を変えるというのは。

【丹野】 普段はやらないです。

【石原】 提案して断られたことは何度かあります。

【丹野】 やっぱり躯体優先が普通なので、実はすごい建物です。 あんまり細かいこと言っていくと時間がなくなるので割愛します。

次のプロジェクトは、順番的に微妙なんですけど、滋賀の信楽の山奥にある学校のチャペルってこれが数年前にお亡くなりになられたI.M. ペイさんの作品です。

僕が初めてGrasshopperさわったのもこの建物ですね。 色々と今の仕事をする、すごく大きなきっかけになった建物で、幾何学的なものをとにかく3Dで全てやりきるプロジェクトでした。 業者さんも皆さん協力していただいて、とにかくやりとりも含めて3Dをメインにできた珍しい建物。

【渡辺】 2012年ですか。

【丹野】 竣工が2012年なので、実際作業のメインは2010〜2011年。

【渡辺】 この頃には清水建設さんにも結構3Dで全部やりきるぞみたいな案件がちょいちょい出て来てたんですか。

【丹野】 なかったですね。

【渡辺】 やっぱり必要に迫られてやった。

【丹野】 これは必要に迫られてやりました。 ペイさんの事務所がRhinoを使ってたんで、Rhinoのモデルを受け取ってくれというので、まず2008年、2009年頃にRhinoを導入して、そこから私のRhino人生がスタートするっていう感じで、とにかく全部3Dでやりきるという建物でした。

竣工の年数が微妙、順番が逆になっちゃうんですけど、軽井沢の千住博美術館というSANAAの西澤立衛さん設計の建物で、構造が佐々木睦郎さん。

これもまあまあ3Dでやり切ったっていうものです。

時間が空くのですけど、2017年に竣工。 これジャカルタにある超高層ビルなんですけど、てっぺんの部分が曲面だったので、これどうにかできないかっていうので、これが私の海外案件の初だったのかな。

スライドの右側はEXCELのシートなんですけど、EXCELのシートにしないと誰も見られないんで、つたない英語で皆さんに伝わるように資料を作り、これを業者さんに渡す。 中国の外装の業者さんでサッシメーカーなんですけど、そこまで行ってその場で会話をしながら何とか形を決めていきました。

ただ、中国の業者さんなので、散々打ち合わせをしたけど、「実はもうやってました」みたいなことがあって、「じゃあ、頑張ってください」って話で終わりました。

これは2020年、福岡空港の国内線のターミナルが新しく増築した時のやつですね。

トップライトなんですけど、この時が設計図というのが左側の楕円と、横を見た、この2枚しか存在しなかったんですよ。何の寸法も打ってない。これをどうにか作らなきゃいけないっていうので、この時初めて設計行為に近くなるぐらい形を変えさせてもらいました。

回転体の一部にしても同じ部材が増えますよっていうのをやらせていただいて、色々解析して、鉄骨が同じ部材で作れるように、仕口部が同じ角度になるようにってやった案件です。

これはいまだに名前が出せない残念な建物です。 とあるオーストラリアのデザイナーの仕事で、全体を見せると、まずいんで一部なんですけど、こんな曲面とルーバーを何とか53パターンまで減らすという作業ですね。こういうのも業者さんと一緒にやったという建物。

多分清水時代に唯一やった設計の仕事です。 かすみ防災アリーナって茨城にあるんですけど、デザインパターンとかホールの中の反響板壁みたいなものをGHで制御してデザインを決めていくっていうことをやりました。 実はゼネコンってこういった形で生産側の人間が設計の仕事を手伝ってないんですよ。

【渡辺】 基本的に丹野さんは生産設計側?

【丹野】 そうです生産設計なので、部署をまたぐと「その費用がどっちに発生するんだ」みたいなことがゼネコンっていうのは存在してるんで、あんまり頼まないんですけど、珍しく頼まれてできた仕事です。

【渡辺】 社内でやっぱりこういう仕事をするのは、当時清水建設でさえ丹野さんしかいなかった?

【丹野】 そうですね。完全な設計行為に関わるっていうのは相当珍しいこと。

こんなことをやりながらVRとかARとかもやりました。 Cloudなんかも頑張ってみました。 このへんは全然、私が辞めたあと誰もやってくれなかったですね。寂しいですね。

こういうのを、自分の古巣の清水建設以外から発表されると、すごく悔しい思いがまだ残ってます。

今やってるものは数少なくしか紹介できないです。 清水さんからニュースリリースが出てますが、BIMのデータから法適合判定プログラムを作って判定するものです。 スライドは避雷針による避雷の保護範囲というのをモデルから出すっていうやつなんですけど、他にもいろいろやっていて、実は石津さんにも手伝ってもらっているというプロジェクトです。

あと、もう終わったんですけど、広島工業大学の杉田研究室との共同研究も持っていまして、遺伝的アルゴリズム用いた足場自動設計に関する研究。 タイトルが堅いんですけど、遺伝的アルゴリズム(Grasshoppperのガラパゴス、オクトパス)を使って足場の自動配置できないかっていう研究を清水時代に始めて、ずっと続けてました。

こういう共同研究みたいなものに企業から研究費を出してやるっていうことを、もっと増やしたがいいなって常々思ってるんですよ。 「その前はあんまり関わってなくて、リクルートで初めて知って入社して…」とか「インターンだけで」とかよりも、一緒に研究するとだいぶ見えてくるがあるし、彼らにとってもこの会社がどういうことをやっているかわかりやすくなる。

そんなことを思いながら、ウチで共同研究できるような余裕がないので、大体清水建設にやりなさいよっていっている。

【渡辺】 これはすばらしいアイディアだと思います。


SUDARE 丹野さんの経歴紹介でした。 次回はGEL 石津さんの経歴紹介です。