建設業界では様々な種類のソフトウェアが使用されています。2Dから3D、あるいはその逆、全ての場合において、異なるソフトウェア間での相互運用が必要です。
今回は、AutoCAD(.dwg)からRhino(.3dm)へのファイル変換に関する実践的な方法について見ていきます。
この記事は2つのパートに分かれており、最初にファイルフォーマットと2つのソフトウェア間の制約について、 次にRhinoにインポートする前にdwgファイルまたはdxfファイルを整理するためのヒントについてそれぞれ解説します。
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1. ファイルフォーマットと制約
Rhino 7は2020年にリリースされましたが、使用しているAutoCADのバージョンによってはRhinoの方が相対的に古い可能性があります。したがって、AutoCADファイルをRhinoにインポートする際には、両者のバージョンを確認する必要があります。また、ソフトウェア間で異なるタイプのオブジェクトがどのように変換され得るか確認しておくことも必要です。dwgファイルをRhinoにインポートする際に留意すべき点は以下の通りです。*1
1-1. AutoCADとインポート先Rhinoバージョンの確認
- Rhinoceros 6、7、8 → AutoCAD 2018以前
- Rhinoceros 5 → AutoCAD 2013および2010以前
- Rhinoceros 4 → AutoCAD 2007以前
1-2. インポート時のオブジェクトタイプの確認
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2. ファイル整理のヒント
2-1. 重いAutoCADファイルを整理する際は領域選択する
多くのブロックを含む大きなファイルを扱う時は、全てのオブジェクトを変換しようとすると非常に重い処理になってしまう可能性があります。そのような場合は、まず変換したい必要なオブジェクトを含む領域のみを選択してから次項の処理を実行していくとよいでしょう。
2-2. AutoCADファイル内に多くのダイナミックブロックがある場合
多くのダイナミックブロックを含む図面を処理する場合、重なった線が多数発生することがあり、ファイルが重く読み込みにくくなります。以下はこの問題を解決するための簡単な手順です。
下記はRhinoモデルへの移動がしにくいダイナミックブロックを多く含むdwgファイル向けの手順です。ダイナミックブロックを「EXPLODE」する際には、ダイナミックブロックの管理方法やdwgファイルの設定次第ではリスクがあることに注意してください。
AutoCADにおける処理:
① 図面全体を複数回「EXPLODE」して、全てのブロックが展開されていることを確認
② 図面全体に「OVERKILL」をかける
③ 「PURGE」を実行
④ 新しいファイルとして「SAVE AS」でファイルを保存
Rhinoにおける処理:
⑤ 「Import」で整理したdwgファイルをインポート
⑥ 「SelBlockInstance」でブロックを選択し「ExplodeBlock」をかける
⑦ 「Purge」を実行
⑧ 「SelDup」で重複するオブジェクトを選択し「Delete」で削除
2-3. AutoCADファイルが2D図面でない場合
3D空間上に立体オブジェクトがあるdwgファイルや複数の高さに2D図面が配置されたdwgファイルの場合は、2D図面としてエクスポートするために下記の手順であらかじめ平面化しておく必要があります。
AutoCADにおける処理:
① 平面図ビューで平面化したい立体オブジェクトを選択し「FLATTEN」を実行 (ブロックは事前に展開しておく)
残念ながら上記の「FLATTEN」コマンドAutoCAD LTでは使用できません。AutoCAD LTでも可能な平面化の方法はAUTODESKの下記公式ページで解説されています。
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結語
異なるソフトウェア間でファイルをインポートまたはエクスポートする際には常にいくつかの困難が伴います。この記事は、モデリングの精度に影響を与えるかもしれない小さな問題を解決するためのシンプルなルールとヒントをまとめることを目的としています。私たちは建設業に関わる全ての人がモデリングのプロセスをより楽しむことができることを期待しています。