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株式会社ヴィックの技術ブログです。

ビジュアリゼーションレクチャー実施レポート|伝わるパースの考え方

前田建設工業株式会社にて、若手社員の皆様を対象にビジュアリゼーションレクチャーを実施しました。

今回のテーマは「伝わるパースのつくり方」。 VICCが数々の実務で培ってきた制作プロセス、チェックポイント、そしてプロジェクトを成功に導くためのコミュニケーションのあり方について共有した、当日の内容をダイジェストでお届けします。

レクチャー風景

レクチャーの出発点はシンプルです。 「思った通りに仕上がらない」という違和感は、なぜ生まれるのか。

パースが伝わらないのは、技術の問題だけではない

現場ではよく、「リアルに作っているのに伝わらない」という課題が挙がります。 しかし今回のレクチャーを通して改めて整理したのは、 その原因の多くが表現技術ではなく、プロセスとコミュニケーションにあるということです。 パース制作は一般的に以下の流れで進みます。

制作工程

情報の整理 アングル制作 モデル制作 初稿制作 フィードバック 完成

一見シンプルですが、この中で最も重要なのは最初の「情報の整理」です。 制作の狙いが曖昧なまま進むと、どれだけ精度の高いビジュアルを作っても、結果として「何を伝えたいのか分からない」状態になってしまいます。

重要なのは、完成形を先に描くこと

レクチャーの中で強調したポイントの一つが、 完成イメージを早い段階で共有することです。

・どのアングルで

・何を主題として

・どんな雰囲気で見せるのか

これをラフでもいいので先に描いておくことで、プロジェクト全体の方向性が揃います。 逆にこれがない状態では、制作途中のフィードバックがすべて“後出し”になり、 手戻りや認識のズレが増えていきます。 パースの品質は、後工程のブラッシュアップだけで決まるものではなく、 初期段階の意思決定の精度に大きく依存しています。

初稿制作

情報は集約しなければ伝わらない

もう一つの大きなテーマが、コミュニケーションの整理です。 パース制作では、以下のような情報が分散しがちです。

メール チャット 口頭 参考画像 スケジュール 修正履歴

この状態では、関係者間で認識のズレが起きるのは当然です。 今回のレクチャーでは、こうした課題に対して、 ホワイトボードツールである Miro を活用したワークフローを紹介しました。

miroを使った進捗管理

情報を一箇所に集約する 思考や意図を可視化する 判断の履歴を残す

これにより、「なぜその表現になったのか」が後からでも追える状態をつくることができます。

パースのクオリティは、単体の画像ではなく、 プロジェクト全体の情報設計によって支えられていると言えます。

後半では、具体的なパースのチェックポイントについても共有しつつ、各項目の重要な視点について共有しました。

良くなるための重要な視点

特に重要なのは以下の3点を紹介しています。

1. 光の設計

光は単なる演出ではなく、「何を見せるか」を決める最も強い要素です。

・白飛びして質感が消えていないか

・光の方向から意図が読み取れるか

・影、陰影によって立体感が出ているか

また、あえて暗い部分を作ることで、主題に視線を誘導するという考え方も重要です。 すべてを見せるのではなく、見せないことで伝える。

2. 人物の配置

人物はスケールを示すだけの添え物ではありません。

・動線の理解

・空間の使われ方

・視線誘導

これらを同時に担う要素です。 配置一つで、建築の読みやすさは大きく変わります。

3. 環境と奥行き

説得力のあるビジュアルには、その場所の空気、リアリティがあります。

・季節感

・空の表情による物語性

・遠景・中景・近景のレイヤーによる空気遠近法

これらを整理することで、単なる画像ではなく、 体験を想像できるビジュアルになります。

パース製作は「再現」ではなく「編集」していくこと

パースは、現実の再現ではなく「情報の編集」です。

どこを見せ、どこを省くのか。 そのすべては、設計意図をどう伝えるかという意思決定であり、設計行為の延長にあります。

だからこそ、ビジュアリゼーションの質は表現技術だけではなく、設計を理解しているかも重要です。

ビジュアルは単なるプレゼン資料ではなく、関係者間の認識を揃え、意思決定を加速させるためのツールです。 本来、ビジュアリゼーションはその役割を担ってきたものですが、近年その役割はこれまでよりも強くなっているとも感じます。

的確に編集されたビジュアルは議論の質を高め、プロジェクトそのものを前に進めます。

私たちは、パース制作を単なるアウトプット業務とは捉えていません。 設計の意図を読み取り、整理し、プロジェクトのフェーズに応じて最適な形で伝えること。そして時には、その考え方自体を共有し、プロジェクト全体の「伝える力」を底上げしていくこと。

ビジュアリゼーションを通してプロジェクトの価値を最大化することが、私たちの役割だと考えています。

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