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ドバイ万博の外装建築から | 演出するファサード − 光、反射、反復

※この記事はシリーズの第6回です。金属ディテールを紹介した第5回はこちら。

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ドバイ万博では、光や反射、規則的なパターンを活かした「演出型ファサード」が数多く見られました。
素材そのものの魅力に加え、視覚効果を計算したデザインは、来場者に強い印象を与えています。
今回は、光の使い方や反復する造形によって空間を演出していたパビリオンをいくつか紹介します。

鏡面仕上げで環境を映し出す — スイス館

スイス館は、外装全面に鏡面パネルを採用し、周囲の風景を映し出していました。

第5回でも紹介した通り、鏡面仕上げによる反射効果が特徴的で、建物そのものを目立たせるのではなく、環境と調和するデザインが印象的です。

柔らかな光を生む膜構造 — フィンランド館

フィンランド館では、外装に膜素材が用いられ、柔らかく光を透過するデザインが採用されていました。

これだけの大きな面を目地なしで仕上げるのは相当困難と思いきや、膜仕上げとのこと。
それにしても平滑さをどう出すのか興味があります。
光を拡散させることで、開放感と温かみのある空間を演出していました。

穴あきパネルが生む光と影のパターン

一部のパビリオンでは、穴あきパネルが使われ、光が通過することで美しい影の模様が生まれていました。

このデザイン手法は古典的ですが、コンピュテーショナルデザインによって最適化されたパターンが採用されている点が特徴です。
機能性と装飾性を両立した外装デザインと言えるでしょう。

紐と数珠が形づくるファサード — イタリア館とイラン館

イタリア館では、紐状の素材を用いてファサードを構成しており、柔らかさと動きのあるデザインが特徴的でした。

一方、イラン館でも同様に連続した数珠状の素材を活用し、伝統的な意匠と現代的なデザインが融合した外装が印象に残りました。

紐や数珠といったシンプルな要素を繰り返すことで、素材感と文化的なニュアンスを巧みに表現した事例です。

おわりに

光、反射、反復を活用したファサードは、素材の特性を引き出し、来場者の視覚体験を豊かにするデザイン手法です。
ドバイ万博では、こうした演出型の外装が各パビリオンで効果的に使われていました。

実際に訪れた大阪万博でも、多彩な光の演出や造形美が展開されており、改めてその魅力を感じました。
今後は、大阪万博で見た最新のファサードデザインについても、ブログで紹介していく予定です。