vicc blog

株式会社ヴィックの技術ブログです。

ドバイ万博の外装建築から | 金属が描くディテールの美学

※この記事はシリーズの第5回です。自然素材をテーマにした第4回はこちら。

blog.vicc.jp

ドバイ万博では、金属を使ったパビリオンが多く見られました。
金属は、加工の自由度と高い精度を活かして、現代的でシャープな印象の外装を実現できる素材です。
今回は、金属を効果的に使っていた事例をいくつか紹介します。

鏡面仕上げによる反射効果 — スイス館

スイス館は、全面を鏡面パネルで仕上げた外装が特徴です。

周囲の景色を映し出すことで、建物の存在感を強調していました。
鏡面仕上げは、施工時の精度が求められるため、仕上がりの質が建築全体の印象を左右します。
大規模にもかかわらず、歪みが少なく美しい反射を実現していました。

複雑な曲面パネル — モビリティーパビリオン

モビリティーパビリオンでは、曲面の金属パネルが外装を構成しています。

パネルの製作に相当のコストがかかっています。
先日東大でフォスター事務所のコンピュテーショナルデザイン研究開発部の主任のマリオスさんと話す機会がありましたが、データ製作からきっちりやり切っています。
今回の大阪万博でもサウジアラビア館の設計をしており、とくにパネルの割付をじっくり見ると面白いはずです。

パネルの“ずらし”によるデザイン効果

一部のパビリオンでは、金属パネルを意図的にずらして配置することで、外装にリズムを生み出していました。

単調になりやすい金属の外観に変化を加え、視覚的なアクセントとしています。
シンプルな工夫ですが、デザインに動きを持たせる有効な手法です。

多面体形状と目地処理の精度

多面体の形状を採用したパビリオンでは、パネル同士の目地の揃え方が重要なポイントとなっていました。

特に、頂点部分や面の切り替わりでは、わずかなズレも目立つため、施工精度が求められます。
幾何学的なデザインを成立させるための技術力が感じられました。

まとめ:技術とデザインの両立

金属を使った外装は、設計段階から施工まで一貫した管理が必要です。
ドバイ万博では、各パビリオンでその技術力とデザイン性が発揮されていました。

大阪万博でも、どのような金属ファサードが登場するのか注目したいところです。