※この記事はシリーズの第4回です。動くファサードをテーマにした第3回はこちらからどうぞ。
ドバイ万博の会場を歩いていると、ハイテクな外装や派手な光の演出とはまた違う、どこかほっとするようなファサードにも出会います。
それは、木や竹といった自然素材を使った建築たち。
構造や意匠の難易度は高くなくても、手触りのある素材からは、時にハイテク建築よりも深い温度や空気感が伝わってきます。
今回は、そんな自然素材がもたらすやさしい表現に注目していきます。
木で包まれたスウェーデン館「The Forest」
まず紹介したいのは、スウェーデン館。
外装から構造体に至るまで、すべてが木材のみで構成されているという潔さが際立っていました。
鉄もコンクリートも使わない。だからこそ、素材の呼吸や木肌のニュアンスが、建物全体から滲み出てくるようです。
内部空間には「森」のテーマに合わせた演出が施され建築全体が巨大な“木のパビリオン”として成立していました。
その佇まいは、ハイテクの対極にある“プリミティブな力強さ”のようなものを感じさせるものでした。
木質素材を使った外装たち
ドバイ万博では他にも、木質素材を用いた外装表現がいくつか見られました。
なかには、木材の加工性を活かして変化のある形状に仕上げている例もありましたが、一方でやや古い印象を受けるデザインもちらほら。
素材としての木は時代を問わず人気がありますが、使い方次第で“あたたかさ”にも“陳腐さ”にも転ぶという難しさも感じさせます。
とはいえ、そこにあるのはやはり手に触れたくなるような質感。素材の力をどう活かすかが、建築のセンスを問うポイントになるのかもしれません。
竹を編み込んだような装飾性
もうひとつ、印象に残ったのが竹を編み込んだような外装です。

まるで籠細工のような編み構造が、外壁のリズムや影を豊かにしていました。規則性と不規則性が同居する竹編みのデザインは、伝統工芸にも通じる奥深さがあります。
こうした表現からは、「自然素材を使うこと」が単なるマテリアルの選択ではなく、文化性や手仕事感まで含めた総合的な建築表現であることが伝わってきます。
おわりに
木や竹といった自然素材は、そこにあるだけで人をやさしく包み込む力を持っています。
ドバイ万博では、そうした素材が持つ質感・温度・文化性が、パビリオンという短命の建築の中にも丁寧に活かされていました。
次に訪れる大阪万博では、これらの自然素材がどのように再解釈され、持続可能な未来に向けて活用されるのか。
静かで力強い“素材の語りかけ”に、引き続き注目していきたいと思います。